
【議員インタビュー】田中海太郎議員が2期目に目指す“対立より対話”

2期目の合言葉は「対立より対話」!
今回、ツワノバコがお話を聞いたのは、津和野町議会議員として2期目を迎えた田中海太郎さんです。
農業に携わりながら議員を務める田中さんは、1期目の4年間を「目の前のことに、がむしゃらに取り組んできた」と振り返ります。
その経験を通して、少しずつ見えてきた2期目の課題。
分野を越えた行政の連携、地域包括ケア、読書とデジタル、JR山口線、そして町民と議員との距離について、これから取り組みたいことを聞きました。
2期目のテーマは、分野を越えた「連携」

農業・教育・福祉をつなぐと、町の課題はどう見えてくるんだろう?
海太郎さんが2期目の大きなテーマとして挙げたのは、「連携」です。
1期目は、農業や教育など、一つひとつの分野に目を向けることが多かったといいます。しかし、町民の暮らしは、一つの分野や担当課だけで完結するものではありません。
例えば、農業と教育をつなぐ食農教育。地域と福祉を結びつける地域包括ケア。
仕事、健康、移動、子育て、買い物、地域活動など、暮らしの中にはさまざまな要素が重なっています。
だからこそ、役場の課を越えて情報や役割をつなぎ、町全体で課題に向き合う必要があるのではないか。
海太郎さんは、議員としてその連携を支え、行政に提案していきたいと話しました。
地域包括ケアを、医療や介護だけの話にしない



住み慣れた地域で暮らし続けるには、町全体の支えが必要なんだね。
海太郎さんが特に関心を寄せているのが、地域包括ケアです。
関心を持つきっかけの一つとなったのは、母親が施設に入った経験でした。
人生の最後まで、できるだけ住み慣れた地域で暮らしていくためには、どのような仕組みが必要なのか。地域で助け合い、見守り合える体制を、今のうちから考える必要があると感じたそうです。
地域包括ケアと聞くと、医療や介護を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、地域で農業を続けること、買い物や通院のための移動手段、子どもや高齢者の居場所、障がいのある方への支援も、すべて一人の暮らしにつながっています。
現在、町には高校生、高齢者、病気を抱える方など、それぞれを対象にした居場所や取り組みがあります。
それらを個別の場として終わらせるのではなく、多世代が自然に集まり、お互いを支え合える場所へつなげられないか。
海太郎さんは、地域全体で暮らしを支える仕組みについて、まずは自分自身が学びながら考えていきたいと話します。
デジタルが進む今だから、本を読む選択肢を残したい



速く進むだけじゃなく、立ち止まったり寄り道したりする時間も大切かも。
もう一つ、海太郎さんが力を入れたいと話したのが、読書を取り巻く環境です。
デジタル化そのものを否定しているわけではありません。便利で、素早く情報を得られるデジタルの良さを認めながらも、本を読み、時間をかけて考える機会が少なくなっていることに危機感を持っています。
海太郎さんは、デジタルと本の違いを「新幹線と普通列車」に例えました。
急ぐ時には、新幹線のように目的地へ速く到着できるデジタルが役に立ちます。
一方、本は普通列車のようにゆっくり進みます。途中で立ち止まり、寄り道をし、考えながら理解していく時間があります。
辞書を開いた時、調べようとした言葉の隣に、知らない言葉を見つける。目的とは直接関係のない出会いが、考え方を広げてくれることもあります。
文学や文化と深い関わりを持つ津和野だからこそ、図書館や学校教育、本屋なども含めて、「本を介して人がつながる町」をつくれないか。
デジタルと本のどちらか一方を選ぶのではなく、必要に応じて選べる環境を残したいと話しました。
山口線の未来を、問題になる前から考える



存続の話が出てからでは遅い。今からできることを考える話だよ。
鉄道が好きだという海太郎さんは、JR山口線の利用促進にも取り組みたいと考えています。
中国地方では、利用者の減少を背景に、鉄道路線の存続をめぐる議論が各地で起きています。
山口線でも、将来同じような議論が始まる可能性があるのではないか。そうなってから動き始めるのでは遅いと、海太郎さんは危機感を口にします。
鉄道は町民の移動手段であると同時に、観光や地域経済にもつながる存在です。
山口線だけを見るのではなく、バスなども含めた地域公共交通のあり方を学び、利用を促す方法を考えていきたいと話しました。
町民と議員の距離を、もっと近づけたい



議員って、困りごとや疑問をもっと気軽に話していい相手なのかも。
海太郎さんが1期目の4年間で感じた変化の一つが、町民から寄せられる相談の増加です。
議員になったばかりの頃は、住民から直接、相談や要望を受ける機会はあまりなかったといいます。
活動を続ける中で、少しずつ「困っていることがある」「役場に伝えてほしい」と声をかけられるようになりました。
町民の声を聞き、行政へ届けることも、議員の大切な仕事です。
海太郎さんはこれまで、議会ごとに紙の広報物を作り、地域や知人を中心に配布してきました。しかし、それだけでは津和野町全体へ情報を届けることはできません。
今後は紙の広報に加え、FacebookやInstagram、YouTubeなども使いながら、より幅広い町民へ議会の情報を届けたいと考えています。
待つのではなく、自分から町の現場へ出ていく



いつもの参加者だけでなく、まだ出会っていない人の声を聞きに行くんだって。
海太郎さんはこれまで、同期の議員たちとタウンミーティングも開催してきました。
ただ、回を重ねる中で、参加者が政治やまちづくりに関心のある人や、顔見知りに限られてしまうという課題も感じたそうです。
そこで2期目は、町民が来るのを待つだけでなく、自分から町内のイベントや会議、地域の活動へ足を運びたいと話します。
自分の関心がある場所だけではなく、「ここで何かが動いている」と知ったら、まずは現場へ行ってみる。
そこで、これまで話したことのない人と出会い、関係をつくることから始めたいと考えています。
津和野には、思いがあっても自分から強く主張することを控える人も少なくありません。
だからこそ、時間をかけて関係をつくり、本音を聞ける議員になりたいと語りました。
賛成でも反対でも、遠慮せずに話してほしい



AかBかで終わらず、対話から新しいCを探してみよう。
海太郎さんは、自分を支持する人の声だけを聞きたいわけではないと話します。
「田中海太郎の政策はおかしい」と考えている人にも、声をかけてほしい。
相手がAという考えを持ち、自分がBという考えを持っているなら、その二つをぶつけ合うことで、AでもBでもない新しいCの案が生まれるかもしれない。
海太郎さんが掲げているのは、「対立より対話」です。
例えば、今後検討が進む町民センターの改修でも、新築するのか、耐震改修を中心にするのか、文化ホールの機能を加えるのかなど、さまざまな意見が出てくると考えられます。
意見が異なる時に、賛成派と反対派に分かれて相手を否定するのではなく、それぞれが大切にしていることを言葉にし、よりよい選択肢を探す。
そのための場をつくることも、議員の役割ではないかと話しました。
「もっと議員を使ってほしい」
海太郎さんは、町民との距離を縮め、本音を語り合える場をつくっていきたいと呼びかけています。
今回のお話で印象に残ったのは、海太郎さんが挙げた一つひとつの政策が、すべて「つなぐ」という考えで結ばれていたことです。
課と課をつなぐ。
世代と世代をつなぐ。
本と実体験をつなぐ。
住民と議員をつなぐ。
異なる意見を、対話によって次の案へつなぐ。
議員の仕事は、完成した答えを町民へ伝えることだけではありません。
町の中に散らばっている声や課題を拾い、それぞれの関係を結び直し、行政や政策へつなげていくことも、大切な役割なのだと思います。
一方で、「連携」や「対話」という言葉は、具体的な仕組みがなければ、曖昧なまま終わってしまう可能性もあります。
誰が全体を把握するのか。
異なる意見を話せる場を、いつ、どのようにつくるのか。
そこで出た声を、政策や予算へどう反映していくのか。
2期目に掲げた考えが、どのような行動や仕組みとして形になっていくのか。ツワノバコでは継続して追いかけていきたいと思います。
そして私たち町民も、議員にすべてを任せるのではなく、まずは自分が感じていることを言葉にしてみる。
その声を受け止め、町の仕組みへつなぐ存在としての議員さんの活動にツワノバコとしてどのようにかかわることができるのか、考えていきたいと思います。
<参考:Youtube ツワノバコチャンネル>
Interview 田中海太郎さん|田中海太郎議員が目指す「対立より対話」のまちづくり
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